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絵と文:(えとぶん)うしおそうじ
同文書院:発行(どうぶんしょいん:はっこう)
今回(こんかい)紹介(しょうかい)するのは昭和初期(しょうわしょき)の様子(ようす)を描いた(えがいた)漫画(まんが)がいっぱいの「昭和漫画雑記帖」(しょうわまんがノート)である。
この本を書かれたうしおそうじさんは、残念(ざんねん)なことに今年(ことし)の3月28日に82才で他界(たかい)されてしまったのであるが、その追悼(ついとう)の意味(いみ)も含め(ふくめ)今回(こんかい)、紹介(しょうかい)させてもらうことにしたのである。 |
うしおさんは映画会社(えいががいしゃ)、漫画家(まんがか)を経て(へて)、アニメ製作会社(せいさくがいしゃ)の「ピープロ」を立ち上げ(たちあげ)、手塚治虫(てづかおさむ)さん原作(げんさく)の「マグマ大使(たいし)」でいわゆる特撮(とくさつ)の作品(さくひん)に入り(はいり)、その後(ご)「宇宙(うちゅう)猿人(えんじん)ゴリ」「
スペクトルマン」「怪傑(かいけつ)ライオン丸(まる)」「電人(でんじん)ザボーガー」「鉄人(てつじん)タイガーセブン」など多数(たすう)の作品(さくひん)を世(よ)に送り(おくり)だした人である。諸君(しょくん)のお父さんたちが、こどもの頃(ころ)に夢中(むちゅう)になって見ていたテレビ番組(ばんぐみ)なのである。
うしおさんは「ウルトラマン」をつくった円谷英二(つぶらやえいじ)監督(かんとく)と並んで(ならんで)、日本(にほん)の特撮(とくさつ)テレビ番組(ばんぐみ)を代表(だいひょう)する人物(じんぶつ)だったと言っても過言(かごん)ではないのである。ちなみに、うしおさんの息子(むすこ)さんの鷺巣詩郎(さぎずしろう)さんは、音楽家(おんがくか)で数年前(すうねんまえ)に大ブームになった「新世紀(しんせいき)エヴァンゲリオン」の音楽監督(おんがくかんとく)なのである。やはり親子(おやこ)というものはどこかで似た(にた)ような仕事(しごと)に関わる(かかわる)ものなのかもしれないなぁと思う(おもう)のである。
さて、前置き(まえおき)が長くなってしまったが、この「昭和漫画雑記帖」(しょうわまんがノート)の内容(ないよう)を紹介(しょうかい)するのである。この本は4つの章(しょう)に分かれて(わかれて)いて
1.子供(こども)ハ遊ブ(あそぶ)〜
戦前(せんぜん)・戦中(せんちゅう)・戦後(せんご)の子供の遊び
2.暮ラシ(くらし)ハ続ク(つづく)〜
日々(ひび)の生活(せいかつ)の中の懐かしい(なつかしい)あれこれ
3.世間(せけん)ハ騒グ(さわぐ)〜
昭和史(しょうわし)を飾った(かざった)男と女と生き物(いきもの)たち
4.カツドウ評判記(ひょうばんき)〜
映画(えいが)がまだ若かった(わかかった)頃(ころ)
となっているのだが、全(ぜん)ページにうしおさんの漫画(まんが)挿し絵(さしえ)がたくさん描かれて(えがかれて)いて、その挿し絵をながめ、横(よこ)にちょこっと書いて(かいて)あるうしおさんの説明(せつめい)を読んで(よんで)いるだけで、楽しめる(たのしめる)のである。最後(さいご)の「カツドウ評判記」では映画の歴史(れきし)、そして特撮映画(とくさつえいが)の歴史も学べる(まなべる)のである。さらに、うしおさんの尊敬(そんけい)する「ウルトラマン」の父、円谷英二(つぶらやえいじ)監督(かんとく)と、「マグマ大使」の原作者(げんさくしゃ)、手塚治虫(てづかおさむ)さんについての思い出(おもいで)が書かれており、ともに同時代(どうじだい)を過ごした(すごした)人物(じんぶつ)でしか知り得ない(しりえない)エピソードがあっておもしろいのである。ここで、びっくりしたのは、今やどこにでもある証明写真(しょうめいしゃしん)をとるスピード写真ボックスは、円谷監督のアイディアで、映画会社を辞めた(やめた)後(あと)、しばらくこの写真ボックスを全国(ぜんこく)に売って(うって)、円谷プロ設立(せつりつ)のためのお金を稼いだ(かせいだ)ということである。これはテレビのトリビアに取り上げ(とりあげ)られそうなネタなのである。
さて、世界(せかい)にいろいろな影響(えいきょう)を与えて(あたえて)いる日本(にほん)の特撮映画(とくさつえいが)やアニメを最初(さいしょ)につくった、円谷英二(つぶらやえいじ)さん、手塚治虫(てづかおさむ)さん、そして、うしおそうじさん、3人とももう他界(たかい)されてしまったのであるが、天国(てんごく)にもし、映画やテレビといった娯楽(ごらく)があるのなら、この3人が揃って(そろって)、きっとものすごい作品(さくひん)をつくることまちがいなしなのである。うしおそうじさんの御冥福(ごめいふく)を祈る(いのる)のである。 |