今回(こんかい)の「時の理科(ときのりか)」は「時の歴史(ときのれきし)」。
そして「時の資料室(しりょうしつ)」と、3つのページにまたがった大形企画(おおがたきかく)や。
時計の発展(はってん)のおおもととなった大発見(だいはっけん)の「振り子の等時性(ふりこのとうじせい)」についてや。

みんな、ガリレオ・ガリレイという人の名前(なまえ)を聞いた(きいた)ことあるやろ。1564年イタリアに生まれた(うまれた)まさに天才(てんさい)と言って(いって)いい物理学者(ぶつりがくしゃ)であり、天文学者(てんもんがくしゃ)であり、自然科学者(しぜんがくしゃ)であり、哲学者(てつがくしゃ)なんや。



あらゆる学問(がくもん)の分野(ぶんや)で、多く(おおく)のすばらしい発見、発明(はつめい)を残した(のこした)ガリレオが、時計の分野で1583年に発見したのが、最初(さいしょ)にいった「振り子の等時性(ふりこのとうじせい)」や。
ガリレオがどうやってこの「振り子の等時性」を発見したのか?
それは、まだガリレオが学生(がくせい)のころに、教会(きょうかい)の天井(てんじょう)からつってあるランプが、揺れて(ゆれて)いるのを見て(みて)、そのランプが大きく揺れても、小さく揺れても「1往復(おうふく)するのにかかる時間は同じ(おなじ)」だということにきづいたんや。
ふつうの人ならただ「揺れてるなぁ」ぐらいにしか思わないところを、こんなことまで考えて(かんがえて)しまうガリレオはやっぱり天才や。
ちなみに時間を計る(はかる)のには、自分(じぶん)の脈拍(みゃくはく/心臓(しんぞう)が、血をおくりだすリズム)で考えたということや。


左(ひだり)の図は、振り子の仕組み(しくみ)を理解(りかい)してもらうために作った(つくった)ものや。
振り子の中心点(ちゅうしんてん)から振り子が振れるはしまでの大きさ(おおきさ)を
振幅(しんぷく)といって、その振幅が大きくても、小さくても関係(かんけい)なく、1往復する時間周期(しゅうき)というんや。
つまり「振り子の等時性」というのは、周期が同じであるということなんや。
ただし、この等時性は振幅が小さいときには、成立(せいりつ)するけど、振幅が大きくなると誤差(ごさ)がでるので成立しなくなるんや。


それから振り子の長さ(ながさ)、つまり、おもりの中心(ちゅうしん)からひもの上(うえ)のはしまでの長さをかえると、同じ振幅でも、周期がかわるんや。
振り子の長さと周期の関係をグラフにしておいたからみてや。周期はひもの長さが短く(みじかく)なればなるほど、だんだんと小さくなっていくんや。
なら、おもりの重さ(おもさ)はどうなんだろう。と思った(おもった)人は、もしかするとガリレオになれるかもしれないぞ。実は(じつは)、おもりの重さは振り子の長さが同じで、振幅も小さければ関係ないんや。つまり周期は同じということなんや。

どや、みんなわかってくれたか。
「振り子の等時性」
は、振幅が小さい時(とき)であれば、ということが条件(じょうけん)となるんや。だからこの大発見(だいはっけん)を、振幅の大きな機械式時計(きかいしきとけい)に応用(おうよう)するのには、実はひと工夫(くふう)もふた工夫も必要(ひつよう)になったということなんや。

その、ひと工夫、ふた工夫を考えたすごい人が「機械時計の父(ちち)」といわれるホイヘンスなんや。
ホイヘンスは、下(した)の図のように振り子のひもの両側(りょうがわ)に曲げた(まげた)板(いた)をつけて、振り子のひもがそれにあたることで、振り子が大きく振れた時でも、1往復する時間が同じになるようにしたんや。この仕組みが完成(かんせい)されたことで、時計の精度(せいど/正確(せいかく)さ)はそれまでとくらべものにならないほどあがって、時計が発展(はってん)していくことになったんや。

ホイヘンスと機械式時計については、「時の歴史」でクヨウィリー先生が詳しく(くわしく)説明(せつめい)しているから、そっちを見てや。それから、「時の図工」では、振り子の実験や。
みんなやってみてや。

2000年9月号